技術情報

PMC工法は、ネオソイルにこんにゃくの精製過程で発生する “とび粉” を 主原料にした粘着材[ピーエムザイ]を加え、法面に吹き付けることを特徴と した工法である。(表1)

標準的な施工方法は、ネオソイルとピーエムザイ、他に若干の肥料を予め 混合したPMC基盤材をモルタル吹付機と空気圧縮機を用い、法面に所定の 厚さに吹き付け、その表面に緑化植物の種子を装着したPM緑化ネットを張 付け完成する。(表2)

PMC工法の吹き付けにより造成する生育基盤の厚さは、法面の勾配や地 質や硬さ、植物の種類等の条件によって決定しているが、3cmから最も劣悪 な条件でも10cm程の厚さで良い。また、金網張工や法枠工等と併用すること で急な勾配でも適用できる。

表1 吹付材料 PMC基盤材 1立米当りの配合

項目 品名 単位 数量
生育基盤材 ネオソイル m3 1.0
粘着材 ピーエムザイ kg 15.0
コーティング肥料 ハイコントロール085 kg 1.0

 

表2 PMC工法の使用材料 吹付厚毎の標準使用量 100平米当り

使用材料 単位 3cm 5cm 10cm
PMC基盤材 m3 5.5 9.1 18.2
PM緑化ネット m2 120.0

PMC吹付工 PM緑化ネット張工

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PMC吹付工

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PM緑化ネット張工

適用の範囲

PMC工法は、切土や盛土あるいは崩壊等で発生した法面(斜面)に、植物の育成に適した基盤(客土)を形成する法面緑化工法である。
法面は、植物の育成基盤としてそれぞれ欠点がある。
切土面や崩壊面は痩せた心土が露出し、硬質であり通気性・通水性が悪く、 また、盛土面や崩壊土砂の体積面は、はじめ膨軟で乾燥しやすく、後に硬く締まってくるので、土壌改善を行わないと十分な植生が望めない。

適用する地質条件

  • 肥沃土の低い土(痩せ地)
  • 岩屑、礫などの割合が多い土
  • 土壌硬度の高い土(山中式硬度指数25mm以上)
  • 節理・亀裂の多い岩
  • 強酸性、強アルカリ土

など、植物の発芽・育成・定着が阻害される緑化困難な地質を対象とする。
特に頻繁に出現する粘性土の切土面では、客土吹付厚5cm以下で 十分な成果が期待できる。
粘性土の切土面で硬質で含水量が多く、植物の根系は伸展不良となり、地上部の育成もあまり期待できない。
また、 表面土壌は乾湿・雨食・霜柱・凍結などにより容易に崩壊しやすい。

土壌硬度

植物の根系が伸長しうる土壌の硬さには限界があり、ある硬さ以上であれば育成基盤の改善が必要となる
一般的に、根の伸長圧が山中式土壌硬度計による硬度指数で23mm程度とみなされており、根が土中に伸長するためには、この値より小さいことが 必要とされている。
しかし、土壌には大小の間隔があるため一般土壌では硬度指数27mm程度まで侵入可能とされ、間隔の極めて少ない粘性度では 根の伸長圧と同じ硬度指数23mmが限界とされている。
また、硬度指数10mm未満の軟らかい土壌においても、乾燥害や表層土の浸食が起こりやすいので、育成基盤の改善が必要である。
植物の育成に適切な土壌硬度指数は、概ね18~22mm程度の範囲であり、それ以上の硬度で根系の伸長が阻害される土壌や軟らかすぎる土壌に 適用する。

適用する勾配の限界

施工地の勾配により植物の育成は影響され、急になるほど育成は衰える。
勾配が急な箇所では保水性を向上させるために育成基盤を厚くする必要が あるが、厚くなるほど滑落しやすい。
従って、永続的に植生を保持するためには、適用する勾配にも限界がある。
一般的には草本植物の群落で60度以下、 草本・低本植物の群落で50度以下、高木樹木で35度以下が目安とされている。
当工法は、適用する勾配の限界を1:0.8(概ね50度)とする。
但し、それ以上(1:0.6程度まで)の箇所に施工する場合は、法枠工などの強固な緑化基礎工と併用するなど、育成基盤の安定保持のための十分な 検討を要す。

吹付厚(育成基盤)の決定基準

植物の育成基盤となる土壌は、その根系が自由に伸長し、水分・養分が十分に吸収され、安定した育成ができることである。
育成基盤が厚いほど植物は安定した成長が望めるが、当工法の実験では、外来草のK31Fを例にとると、基盤の厚さが5cm以上になると急激に 育成量が増加し、10cmで完全育成伸長高に達する。
またこの種の根張りは10~20cmに達することから、最低5cm厚以上の育成基盤層が必要であり、 無土壌岩石地等では育成安全面を考慮し、10cm厚以上の生育基盤層が必要である。
また、一般的に植物に必要な土壌の厚さは、草本類で15cm、低木類で30cm、高木類で60cm以上必要と言われているが、当工法で用いる基盤材料は、 植物の育成に最適な状態に生産されたものであり、一般土壌に比べて保水性・保肥性等に優れており、育成基盤の厚さはこれらの数値よりも薄くすることが 可能である。
当工法の施工対象地は、主に自然植生の困難な急峻な法面であり、復元する植物社会は草木、低木類が優先する。
従って、造成する基盤の厚さもこれらの 植物を主体に決定するが、現在までのところ、育成基盤の厚みを決定づける技術基準などが見当たらないため、当協会では過去の数多くの施工経験から、 施工面の地質、土壌硬度、勾配等を勘定し、吹付厚の決定条件(表3)を標準とする。
なお、おおよその目安としては、次の通りである。

◆根系伸長が期待できるが肥沃度の低い土壌・・・吹付厚  3cm (土壌硬度・・・粘性土23mm以下、砂質土27mm以下)

◆根系伸長が表面にとどまる土壌 ・・・・・・・・・・・・・吹付厚  5cm (土壌硬度・・・粘性土23mm以上、砂質土27mm以上)

◆根系伸長が期待できない土壌・・・・・・・・・・・・・・・吹付厚 10cm (土壌硬度・・・30mm以上、無土壌の岩石地等)

表3

現況 客土の吹付厚(cm) 決定要因
地質 土壌硬度 3 5 10
粘性土
砂質土
23mm以下
25~27mm
根張りが表面にとどまり、育成はするが成績は良くない。

粘性土
砂質土
23mm以上
27mm以上
土壌が硬く根系の伸長は妨げられる、育成不良。

硬質土 30mm以上 根系の伸長は不可能であり、育成は望めない、育成困難。

礫室土 保水性に乏しく、乾燥害を受けたときには枯死する。

軟岩
(無土壌岩石)
生育は不可能であり、充実した育成基盤が必要である。

軽石層 根系の伸長は望めるが、成績は良くない。

肥沃性の乏しい土壌 25mm以下 育成不良、早期衰退。
肥沃性に富む育成基板が必要
PHの片寄った土壌 育成困難、早期衰退。
土壌改良資材の併用を検討。
勾配・・・1:0.8以上(概ね50度以下)
土壌硬度・・・地山の表面土壌硬度、硬度指数は山中式土壌硬度計

工法選定基準

当協会では、これまでの施工実績・実態調査等から工法の選定基準を表4のように設定している。
工事の計画にあたっては、法面の状態を詳細に調査し 検討していただきたい。

  \
    \   現状
工種   \
        \
地質 粘性土 砂質土 硬質土 礫質土 軟岩 軽石層 PH値の
片寄る土壌
土壌
硬度
23mm
以下
23mm
以上
27mm
以下
27mm
以上
30mm
以上
- - -
勾配 1:0.8以上(それ以下の場合は別途検討を要す)
PMC工法 客土吹付
吹付厚
3cm
5cm
10cm
中和剤
併用
PM緑化
ネット張

勾配・・・1:1.5以下
(1:1.5以下では、PM緑化ネットに替えて種子吹付工で施工することも可能)

その他の併用工法
(設計に関しては
別途計上する)
湧水処理工 湧水が育成基盤の付着を阻害する箇所
法面排水処理工
及び丸太筋工
法面が最大(連続して10mを超える箇所)で法枠内の排水処理対策が必要な箇所
法枠工
及び金網張工
勾配が1:10以下で表層土の不安定な法面や岩屑等の多い法面または豪雪地や極寒冷地等

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